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論点整理室 #2 「学歴」の持つ意味の重み

  • 執筆者の写真: taisyo takaguchi
    taisyo takaguchi
  • 5 日前
  • 読了時間: 4分


大学に入って最初に先生からされた話は、今でも覚えている。

「君たちは高校を卒業してすぐに働くという選択があったにもかかわらず、大学進学という道を選んだ。この時点で、高卒で労働する人に比べて大学の学費を払わなければいけないだけでなく、大学に来た日数分働けたと考えれば、かなりの機会損失が生まれることになる。将来的にこの損失を取り戻し逆転できるよう、熱心に取り組んでもらいたい」みたいな内容だったと思う。入って早々機会損失の話をされるのはなんとも経営学部らしいと思ったが、それよりも一体いくらになるのだろうとソワソワした覚えがある。


大卒と高卒の賃金差から見る「投資額」


令和6年賃金構造基本統計調査の速報によれば、学歴別の一般労働者の賃金は一カ月あたり高校卒業者が28万8900円、大学卒業者が38万5300円となっている。ただしこれはあくまで平均値であり、中央値ではないことに注意したい。

仮に普通の4年生大学に通ったとすると、

28.8×48=1382.4万円  +学費分を取り戻さなければならない。国立なら250万、私立文系なら350万、私立理系なら500近くは用意しておかなければならない。

つまりどう少なく見積もっても、大学に行くだけで1,500万円分の投資をされている。という見方ができる。こうやって考えたらもうちょっと勉強しておけば良かったな。。。


仮に大卒と高卒の給料の差が変わらない、とするなら、あくまで単純計算であるが1ヶ月あたり10万円の差を縮めることになり、高卒に累積ベースで追いつこうと思うと150ヶ月、12年ちょっとかかる計算なる。最も、成長率や給料の上がり方が違うだろうから一概には言えないが。

というか現場仕事とか長年やってる人の方が給料上がりやすかったりもするので、一概にこの差が縮まりやすいかと問われると、それは業種による、が正解だと思う。


「自分に投資すること」の本当のリターンとは?


ところで、では1,500万円分自分に投資したとして、そのリターンは一体どこにあるのだろうか。仮に高卒に比べて将来賃金が高いというだけなら、誰もこんなに行かないだろう。PERが12倍〜13倍といえば聞こえはいいが、ライフステージにおいて30代後半というのは一般的な人であれば既に安定期に入っているはずである。多分人間的にはもっと早い時点で有利になりたいよねぇ。。。


1番のリターンは、応募できる職種の幅や自分が到達できる階級の幅が圧倒的に広がるという点だと思う。高卒では到達できないクラスに到達できたり、出世スピードが速かったり。それによって高卒と生まれた1,500万円の壁を早めに取り払うことができる可能性が存在する、この点におけるだろう。

最も、自分が学びたい専門知識を学べるというのもメリットではある。だが、それが今後利益を生み出すかどうかは別問題である。数学科に入って数学を学んだからといってそれを将来の生業や副業的に利益を生み出すことは難しいだろうし、経済学部に入ったからといってそれによって直接食べていけるのは社会学者かコメンテーターくらいだろう。


頭の中に存在する知識はプライスレスかもしれないが、この場合「価値を測れないぐらい価値のあるもの」であると同時に「本当に価値が測れないもの」でもある。


「学歴=努力の証明」なのか?


よく「学歴はその人がどれだけ努力できるかの証明」だと言われる。しかし、個人的にはそう単純ではないと考えている。

確かに、嫌なことでも継続してやり遂げた結果なら評価されるべきだろう。だが、学歴には

  • 家庭環境

  • 経済的余裕

  • 住んでいる地域の教育格差

  • そもそも高校時代に大学進学という選択肢が存在したかどうか

といった多くの外部要因が影響する。

つまり、学歴は本人の努力だけで決まるものではないのだ。



学歴の価値は「時間 × 選択肢 × 環境」で決まる


大学進学とは大きな投資であり、それを回収するには時間がかかる。しかし、単に給与差だけで評価すると大学進学の価値は過小評価されてしまう。

本質的には、

  • 手に入る選択肢

  • 開けるキャリアの天井

  • 出会う人や環境

  • 社会的な信用

といった“時間をかけてじわじわ効いてくる無形資産”こそが大学のリターンだと言える。

そしてこれらは、賃金の単純比較では測れない。




ここまで書いて、大学生はめっちゃバイトする生き物だということに今更気づいた。つまり実際にはもっと金額の差が小さいはずだ。。。

 
 
 

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